糖尿病情報

糖尿病質問室 2012/10/12 糖尿病におけるメカニズムを教えてください。(60歳の男性)

炭水化物をエネルギーとして利用する仕組み

私たちは食物を消化・吸収することで、生命維持や日常活動のエネルギーを得ています。
食物中の栄養素は炭水化物、脂質、たんぱく質の三大栄養素ですが、エネルギー源として最もよく使われるのは炭水化物です。  
炭水化物は、消化・吸収されブドウ糖となって肝臓へ送られます。そのうちの一部は脳や筋肉で利用され、残りのブドウ糖は肝臓内にグリコーゲンとして蓄えられます、さらに余った分は脂肪になります。
身体活動で血液中のブドウ糖を消費すると、肝臓内のグリコーゲンが分解されてブドウ糖となって血液中に放出されます。このようにして、活動のためのエネルギーが常に維持され、血糖値は一定の範囲内におさまっています。


インスリンの作用が不足し血糖値が上がります

インスリンは膵臓ベーター細胞から出るホルモンで、細胞が血液の中からブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用するのを助ける働きをしています。インスリンの作用が不足すると、ブドウ糖を利用できなくなり、血液中のブドウ糖濃度「血糖値」が高くなります。これを高血糖といい、この状態が継続するのが糖尿病です。

インスリンの作用不足には、膵臓ベーター細胞がインスリンを分泌する能力の低下と、インスリンに対する細胞の感受性が悪くなる「インスリン抵抗性」との二つの原因があります。


肥満になると糖尿病になるメカニズム

活動するにはエネルギーが必要ですが、そのエネルギーは、血中のぶどうブドウ糖を、筋肉や脂肪細胞などの組織が細胞内に取り込むことで作られます。

血糖が細胞内に入るには、すい臓から送られるインスリンと、細胞側にあるインスリン専用のレセプターが結合して初めて入れるしくみになっています。肥満になると、インスリンの血糖降下能が低下してインスリンの必要量が増えるので、すい臓にあるベーター細胞が、インスリンを増産し、体内には沢山のインスリンが出回ります(高インスリン血症)。  
しかし、インスリンが一定量を超えると、レセプターの量が、相対的に減少する現象(レセプター異常)が起きるため、血糖の利用効率がさらに落ちて(インスリンの感受性低下。インスリン抵抗性増強)、高血糖が始まります。  

次いで、インスリンとレセプターが結合したあとの異常も加わってくると、すい臓はそうした状態を正常化しようと、さらにインスリンを増産しますが、血糖処理が追いつかず、ここで糖尿病が発症してきます。レセプター結合以後の異常が発生するのは、肥大した脂肪細胞から、TNF-α、インターロイキン6、レジスチンなどの、インスリンの効き目を下げる物質(サイトカイン)が出ることが主な原因です。  

こうした異常が続くと、今度はβ細胞にも異常が起き(β細胞障害)、インスリン分泌も不足する事態になります。糖尿病は重症化して、SU薬やインスリン注射が必要となります。


肥満糖尿病の治療は体重減少が治療の原点

肥満糖尿病の治療の最大の目的は、細胞がもっているインスリンの感受性を回復させ(インスリン抵抗性を取り除き)、正常な血糖状態をとり戻すことです。  
それには、まず、体重を減らすことが先決です。日本人の場合、まず3kg減らすだけで、インスリンの感受性や血糖コントロールが、目に見えて改善してきます。 


食事療法が必要なわけ

糖尿病が、食事と密接な関係にあるインスリンの、不足や欠乏から起こる病気だからです。インスリンが不足すると、食べ物を通して摂取したブドウ糖などの栄養分が利用されなくなり、体の各細胞が栄養不良になります。一方、利用されないブドう糖はどんどん増え続け、血液中にあふれてきます。その状態が高血糖で、これを放置すると、合併症が起きてきます。  

これを防ぐには、摂取する食事の量特に炭水化物の量を制限し、各種の栄養分も不足しないよう、食事のとり方を変えねばなりません。その人に合ったエネルギー量にすることと、栄養バランスのとれた食事に切り換えること、それが食事療法です。

食事療法は、薬を飲むわけでもなくお金もかからないため軽視されがちですが、一番効果があり、またほかの治療法の効果も助ける、もっとも基本になる重要な治療法なのです。 


運動療法の効果のメカニズム

運動療法は、食事療法、薬物療法と並んで、糖尿病治療の有力な手段です。とくに、日本人の糖尿病の95%を占める2型糖尿病の人で、血糖コントロールが安定している人の場合は、食事療法とともに運動療法を行うと、血糖が下がるだけでなく、糖尿病のさまざまな症状が改善され、さらには、動脈硬化の予防、老化防止といった点でも効果があることが実証されています。
しかし、進行した合併症がある時には、運動がかえって病状を悪化させることもあります。何をどの程度行うのが効果的なのかを正しく理解し、適度な運動を上手に生活に取り入れて、糖尿病をよくし、快適な毎日に変えていきましょう。

運動療法の効果は         

(1) 血糖を下げる効果           
運動時のエネルギー源として、血中のブドウ糖を使うため、運動すると血糖が下がり、その効果は翌日まで持続します。また筋肉や脂肪など各組織の細胞がもつ、ブドウ糖や脂肪をエネルギーに変える能力も一段と高まるため、その分インスリン量を節約でき、膵臓の負担を軽減できます。 

(2) 体重を減らし脂質改善効果  
運動時のエネルギー源として、脂肪(遊離脂肪酸)も使うので、運動を定期的に続けると、体重を減らすことができます。また、血液中の中性脂質や動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らし、動脈硬化を予防する善玉コレステロールが増えてきます。 

(3) 心臓や肺の働きを強化する効果 
(4) 血圧を下げる効果 
(5) 足腰など下肢の筋力を強くして、老化を予防する効果 
(6) 血液の循環をよくする効果 
(7) ストレス解消など気分転換の効果 
(8) 体力がついて動きが楽になるため、日常生活が快適になる効果


糖尿病の治療 

インスリンの分泌量を測定し、インスリン分泌不足かインスリン抵抗性かどちらが原因かを診断して治療方針を決めます。

肥満の場合 
    
?超低カロリー食  
インスリンの感受性や分泌量の改善を一気にはかりたい時は、1日600キロカロリーの低カロリー食を、短期的に行う方法もあります。

?行動修正療法  
太る人は、食べ方に問題がある場合が多いので、食事日誌をつけ、減量の妨げの原因をみつけて、生活行動を修正します。

?教育入院
自分ではうまく生活改善できない場合は入院で行います。

?薬物治療
インスリンやSU薬以外の薬が原則です。


経口薬治療

?SU薬                                                       
インスリン分泌遼が落ちている人に使います。膵臓のベーター細胞に直接働きけて、インスリン分泌を促進させ血糖値を低下させます。空腹時の血糖値をよく下げるという特徴があります。 

?速効型インスリン分泌促進薬グリニド  
SU薬と同じように膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促す薬ですが、薬を飲むとすぐに作用が現われ、作用時間が短いという特徴があります。食後高血糖の改善を目的に使われます。  
作用時間が短いため、低血糖を起こしにくいという特徴もあります。 

?ビグアナイド薬BG  
ビグアナイド薬(BG薬)は、肝臓の糖を作る働きを抑えると同時に、筋肉などでの糖の利用を促して、総合的に血糖値を低下させます。   

?インスリン抵抗性改善薬
インスリンの抵抗性を少なくすることでインスリンの作用を高め、それによって血糖値を下げます。 

?α-グルコシダーゼ阻害薬
αGI アルファGI
食物に含まれているでんぷん・糖分の分解・吸収を遅らせることで、食後の急激な高血糖(食後高血糖)を抑える薬です。 空腹時の血糖値がそれほど高くなく、食後高血糖がとくに目立つ患者さんに用いられます。 

?インクレチン関連薬  DPP-4阻害薬      
食後に十二指腸や小腸から分泌される「インクレチン」は、血糖値が高いときにだけ膵臓に働きかけてインスリン分泌を促します。同時に、インスリンと反対に血糖値を上げるホルモン「グルカゴン」の分泌を抑制します。 
DPP-4阻害薬は、インクレチンを分解する酵素DPP-4の働きを阻害することで、インクレチンの作用を助ける薬です。単独で服用する限り低血糖はまず起こりません。


GLP-1アナログ

自然に出るインクレチンと似た構造の物を人工的に作り自己注射します。自然のものより高濃度ですのでインクレチンの効果も強く出ます。 


インスリン療法

糖尿病は、膵臓ベたー細胞から分泌されるインスリンの作用が不足して、高血糖になる病気です。インスリン不足をインスリン注射で補い、血糖値をコントロールするのがインスリン療法です。  
膵臓のインスリン分泌がほとんどなくなる1型糖尿病では、インスリン療法が治療の基本となり、生きるためにもそれが欠かせません。
2型糖尿病では、膵臓のインスリン分泌はいくらかは残っているので、インスリン療法をしなくても、すぐに命にかかわるわけではありませんが食事・運動療法や飲み薬により血糖値を管理できない場合、また血糖値が非常に高い場には、早めにインスリン療法を行います。
国内でインスリン療法を行っている約70万人の患者さんのほとんどは2型糖尿病です。
インスリン療法は重症の糖尿病の人のための最後の治療手段ではありません。必要な人は早めに使用することで糖毒性を解消し膵臓の機能を回復させることができます。

回答者  糖尿病専門医
医学博士   湯 原 淳 良 医師

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