心筋梗塞は予防ができる病気です
急に心筋梗塞で亡くなる人は今でもよくあります。東京駅で電車に遅れそうになり走っていたら急に倒れた。マラソンに参加していて急に倒れたが AED のおかげで助かったという話は枚挙にいとまがありません。このような人でも事前に冠動脈の検査を受けていたら細かいところがわかり治療していたらこのような事態を免れたでしょう。
心筋梗塞の成り立ち
心臓が血液を一杯ためてそれを全身に送り出すポンプです。いくら血をためていても自分の栄養になりません。自分の栄養は外側を取り巻く冠状動脈によって補給されています。冠動脈は非常に細く血管内にプラークがあると詰まりやすくなります。 このプラークはLDLコレステロールから成り立ち大きくなるとはがれやすくなります。これが動脈硬化の姿です。
心筋梗塞と狭心症(攣縮性)の違い
狭心症は心筋梗塞の予兆と言われます。冠状動脈が収縮して細くなると一時的に血が流れなくなり胸の痛みを起こします。その時間は大変短く数秒のこともあります。しかし痙攣ですからすぐ元に戻りますので決まるわけではありませんので狭心症では死なないと言われます。しかしもともと血管が細くなっていたならばいつかは詰まることがあるでしょうから例え狭心症であっても本当に痙攣だけなのかはよく調べておかなくてはなりません。
心筋梗塞の初期症状
一番特徴的な症状は左前胸部の痛みです。胸が苦しくて痛みが左に胸にあれば狭心症を疑います。数秒で治れば狭心症ですが長く続いたりニトロールが効かない時は心筋梗塞の発症を考えましょう。左の痛みだけではなく上腹部痛、左肩の違和感などの時もあります。
心筋梗塞の治療
発作が起こったらすぐ専門医のいる病院を受診しましょう。かかりつけ医は電話で連絡をとったらよろしい。専門医はカテーテル検査をしてしまっているところを探し血栓を溶かす冠状動脈の開通を試みます。最後にステントを入れることになるでしょう。この処置は早ければ早いほどよろしい。
心筋梗塞後のリハビリ
処置後は適度な運動が必要です。糖尿病があれば血糖管理を、高血圧があれば血圧の管理をしっかりする必要があります。糖質異常症のある人は薬物治療が必要でLDLコレステロールは80ぐらいにする必要があります。
心筋梗塞後の日常生活
体重管理、糖質管理、血圧管理。血糖管理は必須ですが禁煙禁酒も実行したいものです。糖尿病がなくても果物、おかし、菓子パン、果物など糖分の過剰摂取は控えましょう。
回答者 糖尿病専門医
医学博士 湯 原 淳 良 医師