ひと年取ると、年取るごとに周りの人がどんどん倒れていきます。倒れた原因はなかなか公表されないので分かりません。
心筋梗塞や脳梗塞にならないで済むのかを教えてください。(70歳の男性)
脳梗塞や心筋梗塞の原因は
一言で言えば動脈硬化です。しかし脳梗塞と心筋梗塞では起こり方が違います。心臓では冠動脈にプラークがつきこれが破たんして壊れたかけらが先へ流れてつまってしまうのです。脳の場合は心臓の場合のような場合のものもあるでしょうが、多いのは頸動脈にできたプラークのかけらが原因になる場合、心房細動で心臓内にできた血栓や下肢の静脈にできた血栓が流れ流れて心臓を通り、脳に流れ着いた場合があるなど、心筋梗塞に比べて原因が多くあります。
動脈硬化
血管は年齢とともに動脈硬化になっていきます。この動脈硬化とは何だろうかと多くの研究が行われました。その結果現在では血管壁は内中外膜で構成されていますが一番内側にプラークができていることがわかりました。このプラークの成分を調べてみるとコレステロールであることがわかり血中を流れるコレステロールに関心高まりこれを下げることに懸命になりました。ところがその後の研究でコレステロールの中で LDLコレステロールが一番の原因であることがわかり現在では LDL コレステロールを少なくすることに全世界が傾注しています。ところが LDL コレステロールを下げても心筋梗塞があるところまで予防できても100%でないことがわかりさらに研究が進んでいます。小さい LDL だとか RLP コレステロールとか脂肪酸の中でオメガ3が多い方が良いとか食生活に影響のある研究が進んでいます。
脳梗塞の前触れ
脳梗塞が発症する前に見られる初期症状や前兆、病院にかかるタイミングが大切です。一過性脳虚血、40代では3人に1人が発症している「隠れ脳梗塞」についても知っておきましょう。
かくれ脳梗塞
「かくれ脳梗塞」とは、(無症候性脳梗塞)のことで非常に小さな脳梗塞のこと。 MRI 検査などで発見されることが多く、 検査などで発見されることが多く、40代では3人に1人、50代では2人に1人の割合、「5年以内に約3割の人に大きな発作が起こる」と警告されています。
一過性脳虚血発作(TIA)
脳梗塞が発症する前に初期症状が見られることがあります。こうした前触れにいち早く気づくことで、重症化を未然に防ぐことが可能です。
脳の血管の流れが一時的に悪くなり、血栓が詰まってしまっている状態です。ただ、血栓はすぐに溶けて血流が正常に戻るため、通常は2~30分、遅くても24時間以内には症状が消えます。
・口の動きの異変・ろれつが回らなくなる 構音障害
・言葉が出なくなる 失語症
・口をうまく閉められなくなる・顔に歪みが出る 片側顔面麻痺
・片方の手足に力が入らない・痺れが起こる 片麻痺
・片方の目に膜がかかったように見えなくなる 一過性黒内障
・視野が狭くなる
・目の焦点が合わなくなる
・物が二重三重になって見える
・人の言うことがうまく理解できない
・思ったように文字が書けない
・治りにくいめまい
そのまま放置しておくと15~20%の人が、3ヶ月以内に脳梗塞を発症、そのうち半数は2日以内(48時間以内)に脳梗塞が発症するといわれています。とくに、体の半分に起こる異常(麻痺・痺れ・歪みなど)は脳梗塞に発展する可能性が非常に高いと考えられています。
FAST
一過性脳虚血発作(TIA)の目安。
Face(顔)=顔の麻痺
Arm(腕)=腕の麻痺やしびれ
Speech(言葉)=言葉の異常
Time(時間)=すぐに救急車
脳梗塞の予防する
①血圧対策
高齢者は家庭では測った血圧は140/90以下が良い。
②脂質異常の対策
現在はLDLlコレステロール(悪玉コレステロール)が非常に重要視されています。血管障害のある人は80以下にした方が良い。 HDL コレステロールも大切ですが40以下の人は生活習慣の改善(喫煙をやめる・運動をする)に力を注ぐべきです。
③禁煙、 禁酒
④運動
毎日10分巻の何らかの運動がおすすめ。
⑤食生活の見直しなど
糖尿病の人はもちろん他の人でも過剰な糖分の摂り過ぎは良くない。果物・お菓子・菓子パン・ケーキ。
回答者 糖尿病専門医
医学博士 湯 原 淳 良 医師